TMNTミュータント・タートルズ  公開年2007年(日本未公開)

CG亀パッケージ

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主役はラファエロ
この映画のテーマは『家族の再生』であり、このテーマを背負ったレオナルドとラファエロに映画内では焦点が当てられ、特にラファエロはこの映画の主役として随所で活躍を見せています。
レオナルドの不在でチームは解散状態になり、しかしニューヨークの街には悪党が毎日のように犯罪を重ねラファエロはその現状に苛立っています。おまけにレオナルドは約束の期間が過ぎても帰らず連絡も無し。ドナテロとミケランジェロは新しい仕事を初めてラファエロの苛立ちは更に募ります。そんな苛立ちを解消するかのようにラファエロはナイトウォッチャーとして悪と1人で戦います。家族との間に溝を感じてニューヨークではないどこかに行って自由になりたいと願う反面ミュータントで自由に生きる事の難しさを知っているジレンマをケイシーに告げるシーンやナイトウォッチャーの活動をレオナルドに咎められ、口論になりレオナルドに対して不満や苛立ちをぶつけるシーンなどラファエロの心境が多く語られています。
特に雨の中レオナルドと一騎打ちをして激情のままレオナルドの刀を折り、釵をレオナルドの顔のそばに突き刺し、平静さを取り戻して逃げるようにその場を立ち去るシーンは海外のアニメならではの微妙な表情の変化が描かれている事もあって強く印象的です。
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CG技術
本作はフルCGアニメーションで、その技術は今見ても見劣りしません。冒頭のジャングルから街の風景、雨の中戦うレオナルドとラファエロにウインターズ低(もしかして会社かも)の床の紋様など細部までこだわりを見せています。CGのこだわりにかんしては円盤の監督のオーディオコメンタリーで語られているのでそちらも参照してください。
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オーディオコメンタリーで語られる裏話
DVD・BDには特典映像やキャストインタビューなどの映像特典が満載で本編未公開のシーンや初期設定(ドナテロはITサポート業ではなくミケランジェロのマネージャー)の映像など盛りだくさん。そして本編でも監督のオーディオコメンタリーが語られ、不採用になったシナリオや演出、タートルズの声優陣の話など貴重な話が語られます。こういう特典がつくのが円盤の良い所ですね。
中でも興味深かったエピソードが映画のシナリオの案にラファエロが死亡してドナテロがラファエロを生き返らせるという案があった事やラストでカライが発した意味深な言葉は特に意味のない物語の余韻を持たせる台詞だったという事。没シナリオは没シナリオで気になりますし、カライの台詞はもしかしたら続編制作狙っていれたんじゃないかなぁと勘ぐってしまったり。
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タートルズ初心者にはお勧めできない。
本作はタートルズの基本的な設定や世界観の説明が省かれているのでタートルズの事を知らない人にはお勧めできません。更に登場キャラクターの心情や映画で直接描かれなかった場面をいかに想像できるかで評価が分かれる映画だと思います。
特にラファエロの心情は描かれている反面レオナルドの心情描写は少なく、エイプリルと別れた後レオナルドがどういう事を考えて家族の許に戻ったのか、ニューヨークにいた頃は兄弟と悪党と戦い、ジャングルで略奪者という悪党と戦っていたレオナルドが何故ナイトウォッチャーのやり方には批判的だったのかという事はもっと深く描いてほしかったなぁと。もしかしたら公式ノベライズで描かれているのかもしれませんが日本未発売だし……。
あと、ウインターズの描写もあっさりめで悪役としては印象が薄い。というか悪役といってもやってた事は戦争後は3000年1人で生き続けてその呪縛から解き放たれたい一心で魔物を集め石像を甦らせた事だから悪役とも言えないですし……。ウインターズや石像・魔物はあくまで付属品で物語はラファエロとレオナルドの物語という感じがしました。
ちょっと辛口な意見になってしまいましたが、キャラクターの心情を上手く想像できたら面白い映画だったと思います。あと、ラファエロの最後のモノローグはすごい好きでこの映画の締めにはこれ以上ない言葉だったと思います。