MOTHER3  開発:任天堂 東京糸井重里事務所 HAL研究所 ブラウニーブラウン 販売:任天堂

MOTHER3

 奇妙で、おもしろい。そして、せつない。

 

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変わる村・人・心
本作ではRPGとしては珍しく訪れる村がタツマイリ村と終盤に登場するニューポークシティの2つだけです。しかし、その分章ごとに村の人の台詞や行動が変わっていき、街の人達1人1人にも名前と個性が与えられゲーム全体で1つの村の発展と村の人の心境の変化が描かれています。
中でも印象に残ったのはイサク。ゲーム開始当初は村で影の薄い木こりとして登場しましたが、ヨクバの演説を聞いているうちに彼に心酔するようになり最後にはブタマスクの一員となってしまいます。ネタバレになってしまいますが、ゲームの最後でブタマスク達はブタマスクを乗せた飛行機が墜落して死亡してしまいます。ブタマスクになったイサクがあの飛行機に乗っていたとしたらイサクもまた死亡したという事に……。
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心の内側が暴かれる
本作屈指のトラウマイベントとして知られるのが『タネヒネリ島』この島のキノコを食べるとリュカ達は幻覚を見るようになるんですが、その幻覚の内容が己のトラウマや心の弱い部分をかきむしるような幻覚で、このイベントでリュカ達のトラウマや心の傷と対峙するというイベント。
ちなみにこのイベントの幻覚は本来はもっと生々しく痛々しい内容だったそうですが、CERO:Aにするためにマイルドな物にしたそうです。あれでマイルドなら元々はどんな内容だったんでしょうか?
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諸悪の根源にして哀れな子ども
今作の黒幕はMOTHER2で登場したポーキー・ミンチです。
ネスがギーグとの戦いに制した事を見届けた彼はその後タイムトラベルを繰り返したもののどの時空でも爪弾きに遭い、生身で時をかけ続けた副作用で不死の身体となってしまい、自力で歩く事もできないくらいに老衰した身体と捻くれた子供の精神を併せ持つという歪んだ存在となってしまいます。永い孤独の中で精神が歪んだポーキーはやがて世界の全ての消滅(もしくは自分の死)を望むようになり、別の時代から人々を浚って洗脳しブタマスクとして自分の意のままに動く手下を作り動物達を改造してキマイラという不気味な生命体を作り、ヨクバをけしかけタツマイリ村を自分の玩具のように好き勝手に扱うなど、子供じみた独裁者のように活動を続けています。
一方彼が作り上げたニューポークシティでは母親を模したロボット(ロボットが発する内容は子供を甘やかすダメな母親のそれ)を大量に作ったり、映画館ではネス達の冒険の様子を上映したり、部屋に『ともだちのヨーヨー』を厳重に保管しヨーヨーを守るロボットを配置するなど(ともだちというのは恐らくネスの事。ネスから貰ったヨーヨーなのか単にネスの所有物かは不明)過去や家族に対する想いが残っていることが伺え、プレイヤーを複雑な気持ちにさせます。呼吸すらままならないヨボヨボの姿は哀れみさえ抱かせて、その最期は敵ながら悲惨な最期(見方を変えれば救済・はたまたポーキーの望み通り)を迎えるのでポーキーに対して複雑な感情を覚えるプレイヤーもいます。もちろんポーキーの行った悪行は本当にとんでもないことですし、彼に人生を歪まされた人も多いので自業自得とも言えますが。
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陰鬱さをのぞかせる世界観・ストーリー。そして、解釈の別れる演出からMOTHERシリーズの異色作として評価の別れるゲームですが、ある意味この生々しさはMOTHERらしいのかも。