MOTHER  開発:パックソフトニカ エイブ  販売;任天堂

MOTHERゲーム

名作保障
エンディングまで泣くんじゃない

 

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ボーイミーツガール
物語の本筋はメロディを集めて謎の敵から世界を救う事ですが、キャラクター達もその冒険の中で成長したり恋をしたりします。
1人目の仲間でいじめられっ子の天才少年ロイドは身体も弱くてPSIも持っていません。その為、途中から仲間になったテディの加入時にその弱さを理由に仲間から外されますが(システム的な都合もあるんでしょうが。ちなみにテディは意地悪で言ったわけではなくロイドの弱さでは戦いの中で傷ついてしまうのではないかという気遣いで戦線から離脱させたんです)仲間の危機に駆けつけ臆病な彼がもう一度勇気を振り絞り仲間に加わるシーンはロイドの名シーンの一つです。
女の子のアナと男の子は冒険を通して淡い恋心が芽生えたようで旅先で恋人と間違えられたリ、中々甘酸っぱい描写があります。中でも山小屋で2人っきりになった男の子と女の子がダンスを踊ってアナが男の子に「わたしのことすき?」と問いかけるシーンはファミコンながらロマンティック。
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メロディと愛
世界を混乱させ、イースターの大人達を浚うなどの悪事を重ねる敵を倒す為にメロディを集めるのが本作のストーリー。メロディをキーワードにしているだけあってかBGMには力が入っており、聞いたところによると容量の3分の1がBGMのデータだとか。ファミコンの容量を考えるとこれってすごい事だと思います。
中でもお気に入りはマジカントにあるクイーンマリーのお城のBGMです。壮大で厳かなBGMは城の雰囲気とぴったり。
街のBGM・ライブハウスや山小屋のイベントBGM・更には気動車に乗る時のBGMなど耳に残る音楽がたくさんあります。
残念ながらもう廃盤となっていますがMOTHERのサウンドトラックには本作のBGMをアレンジした曲が収録されてライブハウスのBGMや気動車のBGM、更には容量の都合で入れられなかった没BGMに歌詞と歌が入れられた曲が多数収録されています。もし購入の機会があったら是非購入して聞いてみてください。
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牧羊的に見えて実は……
ファミコンの容量と想像の余地を残す為にあえて説明しない作風の本作にはゲームだけでは語られない裏設定が多く存在します。その設定を語った『マザー百科』というガイドブックには実は結構重い話があります。
例えばレインディアという街にある屋敷。本作ではローズマリーというお金持ちの家の別荘に幽霊が棲みついたので幽霊屋敷になっているくらいの説明しかありませんが、実は設定上ではもともとは異形として産まれたローズマリーの姉を周囲の眼から遠ざける為に建てられた屋敷だというのがマザー百科では語られます。(ちなみにローズマリーの名前の元ネタは『ローズマリーの赤ちゃん』というホラー小説、ホラー映画)
ローズマリーの姉は屋敷には登場しません。主人公達に見つからないように隠れていたのかもうすでに亡くなっているのか、それとも……。
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ラスボス戦
本作のラスボス戦はただ主人公を鍛えてSPIを駆使しても勝てません。詳しい事はここでは書きませんが、ラスボス戦にはある事をしなければならず、この倒し方がMOTHERがMOTHERたる所以何だと思います。後のシリーズでもただ敵を倒すだけでなくある行動をとるというのは受け継がれました。
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少し過激なもう一つのMOTHER
任天堂のゲームでは珍しく、本作には小説家の久美沙織先生が手掛けたノベライズ版があり、ゲーム版とは違うキャラ・性描写の暗喩から賛否両論ですが、単体として読むと中々面白いので個人的には有り。
違いとしては
主人公の男の子の名前はケン。ゲームでは黒髪黒目だけど小説版では金髪碧眼。SPIの所為で色々な眼にあっているのでやや擦れたところはあり口は悪いが、やんちゃながらも心根は優しい男の子。
女の子の名前はアナ。ゲーム版では金髪碧眼で帽子を被っているが小説版では黒髪のロングヘアで後にある出来事がきっかけで銀髪になる。彼女視点で物語は綴られ男の子2人に劣等感を抱いたり疎外感を抱いたり思春期の複雑な感情が描かれている。なお、彼女が性行為をし妊娠したととれる描写があるがアナは10代でゲーム版では12才である。
ロイドは弱虫さよりもインテリさを強調されている。粗暴なケンに代わってアナを気遣う思慮深い少年。
テディは名前はジョーとなっていて更に設定もゲーム版の不良少年から成人したミュージシャンとなっていて実質オリジナルキャラクターとなっています。