人魚シリーズ  作者:高橋留美子  掲載誌:週刊少年サンデー 週刊少年サンデー増刊

人魚の森
あらすじ
現代より約500年前。漁師の湧太は仲間と共に浜に流れ着いた人魚の肉を面白半分に食べてしまう。すると仲間は次々に死んでいき、湧太だけが生き残り、不老不死の体となってしまった。
不老不死の妙薬と呼ばれる人魚の肉。それは力が強すぎるために、普通の人間にとっては猛毒であり、死ぬか、“なりそこない”と呼ばれる化け物に変わる。それに耐え切り不老不死を得ることができる者は、数百年に一人。湧太がその一人の人間であった。そのために湧太は、人と交われぬ永遠の孤独をその身に背負うことになる。親しいものは皆死に絶え、永遠の時を生きなければならない。いつしか湧太は元の人間に戻ることを切望するようになる。
元の人間に戻るためには人魚に会うこと、「人魚に会えば何とかなる」と聞かされた湧太は人魚を探す旅を続けることになった。戦国、江戸、明治、大正、昭和。数多き時代を流れ生きる湧太だったが、ある日ついに人魚の里を見つけ出す。
湧太がそこで出会ったのは、囚われの身の少女・真魚であった。彼女は人魚の里の陰謀により人魚の肉を食べさせられて不老不死になった人間だった。
「元の人間に戻る方法は無い」と言い渡された湧太は、助け出した真魚と共に旅に出る。その永遠の旅の中、彼らは「人魚の伝説」に翻弄される人々の悲哀を見続ける。(ウィキペディアより)
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ギャグ漫画の印象が強い高橋留美子先生ですが、この短編連作の『人魚シリーズ』はギャグ描写がほとんどなく、永遠の命を手にしてしまった者の不幸や人魚に翻弄される人々を描くシリアスで暗い作風です。
登場人物が死亡する描写も多く救いのない結末で迎えるのがほとんど。唯一の救いはヒロインの真魚(まな)の明るさですが、彼女も主人公の湧太(ゆうた)も人魚の肉で不死になった身。彼らが永遠の命から解放されていない存在なのでいつかは本作の登場人物のように救いのない結末を迎えるのかもしれません。もしかしたら結末が絶対に訪れない(死ねない)事が彼らの最大の不幸なのかも。