アマリリス  作者:福島鉄平  掲載誌:ミラクルジャンプ

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『サムライうさぎ』など週刊少年ジャンプで活躍していた福島鉄平先生が青年誌へと活動の場を移して発表された『アマリリス』
少年が変態に売られて夜の店で働くというとんでもない設定ですが、読んでみると穢れを知らなかった純粋な少年が無理矢理大人の世界を見せられて自分は汚れたという自己嫌悪する描写。自分とは対照的に世界を愛し愛された少年・ポールへの友情のようなどこか恋愛が入っているような想い。そして想いゆえに彼と決別し自分の世界に閉じこもってしまうラストシーンなど、文学のようなものを感じました。圧倒されました。
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母親について思った事
ジャンは母親に売られた事で人生は一変しました。モノローグではよく褒められたと語られましたが回想シーンではテストでいい成績が取れた・サッカーの試合でメンバーに選ばれたとアピールするジャンに背を向け声をかけなかった場面から見るに親子仲は良好とは言えなかったんじゃないでしょうか? ジャンは母に愛されるために努力したけど母はそんなジャンを愛さなかった。そんな風に取れました。
母親が何故あんな態度をとったかちょっと想像。
その1。ジャンは別れた父親によく似ていた。母親は夫にひどいことをされた、または夫が他の女を選んで家を出た事から夫を憎んでいる。だから父親に似ているジャンを見ると夫を思い出して常に背を向け自分に似た次男だけを愛した。ジャンのモノローグの褒められたはまた夫との仲が良好だったころの話。
その2。ジャンの母親の経済状況は最悪と呼べる状況だった。性質の悪い金融業者にまでお金を借りなければならず、その借金を返せる稼ぎは彼女には無い。
家族全員が死ぬかジャン1人を犠牲にするか苦悩した彼女は悩み抜いた末に幼い次男を選んだ(次男の年齢では店で働くこともできないので売れない)母親がジャンに背を向け続けたのはその頃にはジャンを売る事が決まっていたので決心が鈍らない為に無視していた。
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ちょっと気になった事
ジャンがクラスメイトから昼ご飯を貰うシーンの時のモノローグ「学校に行かれるのはよかった」の部分。
これ「学校に行けるのはよかった」「学校に通えるのはよかった」の方が自然だと思うんですが、日本語的には表現どうなんだろ?