昴  作者・曽田正人  掲載誌・ビッグスピリッツコミックス

昴1

 

何かがあるの。死んじゃうくらい気持ちいいことが…………!!

 

小学生の宮本すばるは病に倒れ記憶障害・失語症・寝たきりという辛い闘病生活を送っている双子の弟宮本和馬のために毎日その日起こった出来事を『踊り』で語りかける日々を送っていた。ある日、同級生の誘いでバレエ教室に足を運んだことでバレエの魅力を知りその晩バレエをしたいと母親に告げる。だが、和馬の病気の事で精神が不安定な母親はそれを強く叱りつけすばるは母親との口論で物の弾みに「かずまなんかいなきゃいいんだッ」と言ってしまう。しかし、その言葉を発した時に和馬の目が開いていた事と数日後和馬が死の間際に呟いた「すばるちゃん、ごめんね」という言葉がすばるの心に消えない傷を作った。
数年後、すばるはバレエ教室に通いつつ和馬の死後に迷い込んだキャバレーで踊っていた。圧倒的なバレエの才能とセンスを磨きあげるスバル。しかし、弟の死と両親との不和は彼女を情緒不安定な性格にさせていった……。
今回紹介するのは周囲を圧倒する才能を持ちながらもその才能故に孤独を強いられる少女・宮本すばるの生き様を描いたバレエ漫画『昴』です。
主人公は怖いくらいにバレエに全てを捧げている宮本すばるですが、一方で彼女の才能を目の当たりにして苦悩する人々も描かれています。

一番初めにすばるの才能を目の当たりにしたのは小学高の頃の同級生の呉羽真奈。彼女は母親の気を引きたいが為に幼い頃からバレエを習い、彼女自身も中学生の時点で代役でプロの舞台に立つ程の実力を持ちながらもすばるの才能の前に自身が周囲から霞んでしまう現状に苛立ちながらも、すばるのバレエに魅了されます。少女漫画だったらすばるを陥れるためにあれこれやりそうな立ち位置ですけど、初舞台に恐怖して涙を見せるすばるを励ましたり、嫉妬心を燃やすことはあれど性格は良いですよね。浮世絵離れしたすばるとは逆に人間臭くて結構好きです。