昭和元禄落語心中  作者・雲田はるこ  掲載紙・ITAN

落語心中1巻

 

アネさん違います
寄席ってのはあったけえんだよ
オイラみたいな世界一のバカでも受け入れてくれるところなんだ

 

ヤクザの世界から足を洗う為に刑務所に入っていた強次。彼は刑務所内の慰問で披露された八代目有楽亭八雲の死神という落語に感動し、出所後はすぐに八雲に弟子入りを懇願する。弟子を取らない事で有名だった八雲だが、その人懐っこさを気に入られたのか単なる気まぐれなのか八雲から与太郎と呼ばれ彼に引き取られる事になった。
落語と聞くと敷居が高いように思えますが、本作では落語を通して様々な人間模様が描かれる作品なので落語を知らない方でも気楽に読める漫画です。
主人公の与太郎(江戸時代のアホな人を指す言葉。落語の話にも与太郎と呼ばれる人が主役の話が多いです)とその師匠で昭和最後の大名人と謳われる落語家八代目有楽亭八雲とその養女の小夏、そして八雲の親友であり小夏の実の父親で若くして亡くなった天才落語家二代目有楽亭助六が中心に物語は進んでいきます。八雲と助六と小夏。それぞれ複雑で重い関係がある中飛び込んできた単純明快の与太郎の存在が良いですね。与太郎の存在で少しずつ八雲や小夏の心境にも変化が訪れます。
作中では落語を披露する場面が多くありますが、紙の媒体で音がない漫画にも関わらず臨場感があってぐいぐい引き込まれていきます。空気を作るのが上手いと言いますか、読んでいるのに本当に落語を聞いているような気分になります。コミック1巻2巻では与太郎が八雲に弟子入りする所まで描かれ、3巻から5巻で八雲と助六の過去が描かれ2人の一言では言い表せない関係が深く語られます。そして、6巻から再び与太郎の話に戻り真打になり落語家としての道を歩く彼とその周囲の人間関係が描かれます。

落語が好きな方もそうでない方も是非読んでほしいですね。