少女革命ウテナ  製作者・ビーパパス  監督・ 幾原邦彦 キャラクター原案 漫画版・さいとうちほ

少女革命ウテナ上

世界を革命する力を!
あらすじ
男装の美少女、天上ウテナ。彼女は幼い頃に両親を事故で亡くし悲しみのあまり『棺』に閉じこもっていたところを『王子様』に救われ、王子様に憧れるあまり自分も王子様になろうと決意し、王子様のように気高くかっこよく生きる事を信条としている。
ある日、親友の篠原若葉が生徒会副会長の西園寺莢一(さいおんじ きょういち)に出したラブレターを発端に西園寺と『決闘』する事になる。
西園寺とのデュエルに勝利したウテナは『薔薇の花嫁』姫宮アンシーと『エンゲージ』をする。このことがきっかけでウテナは『鳳学園』のデュエリスト達との『決闘ゲーム』に巻き込まれ、やがて『世界の果て』を知ることになるのだった……。

***
意味深なキーワード、あまりにも現実離れした舞台と美術、難解な劇中劇、同性愛・近親相姦・依存・嫉妬などを盛り込んだドロドロした人間模様、アングラ劇団の合唱曲をアレンジした挿入歌、そしてアニメというフィクションにおいてタブーすら感じるテーマ。
『少女革命ウテナ』はその難解さとシュールさからけして一般的ではないものの、その難解だからこそ惹き込まれる人も多く、現在でも熱狂的なファンが世界中に存在します。
テレビアニメ・漫画版・劇場版とそれぞれ世界観とキャラクターは同じなものの(細部は違えど)独立したストーリーとテーマになっていて媒体によって違った
***
受け手によって変わる解釈
この作品は正直よく分からない、けれど見入ってしまう。というのが感想です。というか製作者サイドも意図して分かりにくくしているからこれは狙ってやったものでしょう。実際この分かりにくさが多くの解釈・考察を生み、考察サイトの記事を読んでも同じシーン同じキャラの事を書いているのに執筆した人によって全く違う事が書かれているのが面白い。
個人的に面白いなと思った考察は『実はウテナとアンシーは同一人物であり、幼い頃に両親を亡くした悲しみと絶望をウテナの中から切り離した存在がアンシー。最終的に学園を出た2人はそこでようやく元の1人の人間になった』というもの。普通の作品では同時に登場している2人の人間が同一人物なんて説は出ませんが、この作品なら納得してしまう説得力があるんだからすごい。
ちなみに初期構想ではアンシーは登場せずにウテナがメインの物語だったそうでウテナは『どんな気高い困難にもくじけない気高い女性』であると同時に『快楽主義者で多くの男性と恋をして多くの男性との間にできた子供を産む』キャラクターで、後にその要素を2人のキャラクターに分けたのがウテナとアンシーが産まれるきっかけだそうです。(もしウテナが初期設定のままだったら世に出られたのかな? 当初はTVじゃなくてOVA狙っていたからコアファン向けだったみたいだけど)
TVアニメ版はウテナは『理想』アンシーは『現実』をメタファーしていて(他にもアンシーは抑圧された自我という象徴があるそうです)相反するテーマを背負った2人が実は同一人物という説はなるほどと思いました。※ただしこの説はあくまで考察であって公式ではないのでそういう解釈があるんだ程度で。
***
ウテナは王子様を目指して、その理想の為にひたむきに歩きます。しかし、本作のテーマは『ウテナが王子様になる』ものでも『ウテナとアンシーの友情』がテーマでもありません(友情は一応あるのかもしれないけど)本作のテーマは『革命』少女が支配されたシステムを破壊し自由になる。つまり王子様という概念から自由になる事です。この革命というテーマがあったからこそ、TVアニメ最終回でウテナが学園から姿を消してアンシーが学園の外を出てウテナを探すというラストが最高のハッピーエンドになるんだと思いました。
映画はTVアニメとは違ったストーリー展開なのでそれについても書けたらと思います。