ルパン三世 GREEN vs RED  監督:宮繁之  脚本:大川俊道

グリーンVSレッド

登場キャラについて
・ヤスオ
本作の主人公でワルサーP38を手にした事からルパン三世の1人になり、本物のルパン三世の座を巡る戦いをする事になります。ラストシーンで警察から新型と呼ばれたルパンがヤスオで戦いを制して本物のルパンになったという解釈もできますが、ヤスオが本物のルパンになれたかはハッキリ明言されていません。ただし名前の由来が永遠のルパン三世、初代ルパン役の山田康雄さんなので私はヤスオが本物になったって解釈します。
ヤスオ役は芸人の片桐仁さんで、その演技力に関しては個人的に評するなら「下手な時もあるけど全体的に見るとそこまでひどくない。ただどこか浮いてる感じがある」でしょうか。最もあえて本職の声優ではなく畑違いの人を起用する事でヤスオの異物感を出すという演出かもしれませんが。
・ユキコ
ヤスオを愛しているものの定職に就かない彼に愛想を尽かし始めている女性。彼女の職業はレポーターですが、これは押井版ルパンでは峰不二子がレポーターという設定だったのでそれに基づいているんだと思います。
最後のシーンはヤスオがユキコの許を去ったという解釈ができますが、一方でヤスオが本物のルパンになった事で彼女も新たな峰不二子になったという解釈もできます。それはこの映画で次元と五右衛門が自分の技術を別の誰かに伝えてるEDイラストがありますが、これはそれぞれが自分の後継者を育てていると解釈ができ、峰不二子にもいずれ別の誰かが峰不二子として生きるという考察があるからです。
名前の由来が初代峰不二子役の二階堂有紀子さんというのがその考察を後押ししている感じがします。
・ルパン三世K
日本で万引きをし捕まった劣化ルパン。彼の行動によりルパン三世の名が汚れた事で世界中のルパン三世が日本に集まりました。
その後ルパン三世としての自分を捨て、故郷に帰り祖父が作った巨大ロボットでヤスオを助けますが、この唐突なロボットはカリオトロスの城の監督宮崎駿監督の作風を意識したものだと言う見方があります。
・世界中のルパン
ルパン三世Kの行為に怒った多くのルパンが東京に集まりました。この中にカリオトロスの城のルパンらしきルパンもいましたが他のルパンに「結局お前は何も盗んでいない」と皮肉られたり、あっさり逮捕されたり扱いが悪め。まぁ、彼らが本当にTVSP・映画のルパンとは限らないし、皮肉はある種のアンチテーゼみたいなものなのでしょうか?
・赤いジャケットのルパン
劇中のルパンで一番本物のような振る舞いと強さで、次元と五右衛門も彼に味方しているシーンがあります。ヤスオと本物のルパンの座を巡って戦い2度勝利します。そして3度目の勝負でルパン三世の座が決まったように思えますがこの新型ルパンがどちらかは曖昧に終わっています。
・次元と五右衛門
ルパンに本物はなく一緒にいて一番面白い奴と組むという考えで動き、赤いジャケットのルパンと行動を共にします。
ちなみに次元がマグナムをいじりながら自分は40年もマグナムを使っている的なセリフがあるのですがこれは次元役の小林清志さんが一度だけ世代交代で銀河万丈さんに代わった以外一環として次元役を務めている、他のメンバーと違って初代のままというメタ発言のようなものだと思います(他には銭型役の納谷悟朗さんが亡くなるまで初代銭形を演じていました)
EDイラストでは2人は自分の技を教えるシーンがあり、これが後任を育てているという解釈ができます。
・峰不二子
ヤスオと手を組もうと言いつつも危なくなったらヤスオを捨てて逃げる相変わらずの魔性っぷりを披露しています。ラストでは意味深な言葉を紅屋の主人に言っています。
個人的に面白い考察だなと思ったのが、今作の峰不二子は2代目で初代はユキコの祖母が初代峰不二子という説です。ユキコの祖母はヤスオに優しく自分が思うがままに生きなさい的な事を言うのですが(と言っても実際にはもう声がでないので囁くような感じでしたが)そのシーンは初代峰不二子が次世代のルパンに語り掛けるシーンととれるからです。あのシーンは確かに意味深でしたからね。
・銭形幸一
正直今作は本物のルパンが誰か分からない分、銭形がルパンを追うシーンはほとんどないので活躍とか印象は薄め。ただラストで大怪我を負ったルパンを心配する姿に泥棒と刑事の間に芽生えた情を感じます。
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あまりに癖が強く人に勧められる作品とは言えません。しかし、意味深なシーンやセリフは受け手に様々な想像力をかき立てます。ルパン三世という長く続き、作品によって様々なルパン像が描かれているルパン三世という作品だからこそ成り立つ作品で過去作のオマージュや皮肉、そして次世代のルパン三世へのエールが描かれて、私の感想としてはよく分からないけど嫌いじゃない作品です。