ヤサシイワタシ  作者:ひぐちアサ  掲載誌:月刊アフタヌーン

ヤサシイワタシ
あらすじ
大学2年になり写真サークルに入った主人公・芹生弘隆(せりう ひろたか)は、サークル内の問題児、唐須弥恵(からす やえ)と知り合い交際を始める。元彼への未練を隠さず告白してしまったり、弘隆の抱える心の傷を議論の引き合いに出したりと、周囲の心配通り恋人である弘隆に対しても容赦のない奔放振りをみせる弥恵。始めから危うげだった二人の恋の行方は、やがて衝撃の経過をたどり…。(ウィキペディアより)
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今回紹介するのは『ヤサシイワタシ』大学の写真サークルを舞台に繰り広げられるお話です。
本作は非常に好き嫌いが別れる作品で、台詞回しもかなり難しく(言い回しが難しいのではなく、ひぐち先生独特のリアルな人間の話し方のような台詞回し)正直読んでいてかなり難解な作品でした。
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1人目のヒロイン・唐須弥恵
本作は彼女という人間を理解できるかによって評価が一気に変わると言っても過言ではありません。
喜怒哀楽が激しく子供っぽい性格。写真家になるという夢を抱きながらも地道な努力や妥協をする事が苦手で同サークルのメンバーから技術に関する指摘をされてもそれを受けて向上しようとする前に拗ねてむくれる。プライドが高い、というよりは自分を認めてほしい・肯定してほしいという欲求が高く、相手を否定する言葉は平然と言うのに相手が自分を悪く言うのが許せない。彼氏の前で元カレの話をして煽ろうとするなど、とにかく敵を作りやすいタイプです。しかし、素直すぎる性格故かサークルメンバーからは問題児扱いされつつも受け入れられ義母や異母妹とも上手くいってました。
写真家になる夢の実現は彼女にはあまりにも難しく、いつしか恋人の芹生と不和が生じるようになり破局。その後も上手くいかない自分の人生に次第に追い詰められ、そして自殺という形で彼女の人生は幕を閉じます。
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2人目のヒロイン・西村澄緒(にしむら すみお)
一緒に死んでも良かった。弥恵が死んだあと芹生はそう思う位彼女の事を大事に想って愛していました。
失意のどん底にいる芹生を救う存在、それが芹生の従妹の澄緒です。
彼女は父親が浮気していると思い、真相を確かめるために家を出て芹生の許に転がり込みますが、実は父親が浮気しているのは自分の母とで自分は不義の子だったのです。
真実に打ちひしがれながらも、彼女は母の為に生きる事を決めます。そして彼女と交わしたある約束が芹生に再び生きる力を与えます。
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コミカルなシーンもあるにはありますが、全編を通して重く暗い話です。しかし、だからこそラストのシーンの光が印象的でした。キャラクターのリアリティは半端なくひぐち先生の人間観察力が伺えます。