サイファー  作者:かとうひろし  掲載誌:月間コロコロコミック

サイファー
ハッ
毎日、
同じことの繰り返しでよ。
退屈しちまうよなぁ……。
ったくぅ……。

あらすじ
額に星型のあざを持つ少年、「諸星一輝」は不思議な夢に悩まされていた。「PSYPER」という謎の言葉を残す怪物と「やつらがやってくる」という謎の声。そんな一輝にはスプーン曲げなどの超能力があり、友達にもよく自慢げに見せていた。しかし、ある日謎の大男が現れ夢の中のあの声が忠告する。「その男から早く離れろ」と。男と出会ったのち、母親に祖父が事故に遭ったと告げられ病院に向かうが、そこは既に廃屋と化していた。母親の正体は、母親に擬態していた怪物「ガイ魔」であった。ガイ魔の突然の襲撃に2つ尾の犬が一輝を助ける。その犬こそガイ魔と闘う力を持つサイコ・パワーを持つ戦士『サイファー』との会話が可能なドラゴンドッグ「ウォン」であった。闘いの中、母親が殺されたことを知った一輝は怒りでパワーを解き放ち、襲い来るガイ魔を辛くも撃退する。
ウォンからガイ魔の目的を聞かされた一輝は、自らの身を守るため、そして人類を脅かす「ガイ魔王」の復活を阻止するために、同じサイファーたる仲間たちを探して旅立つのだった。(ウィキペディアより)
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今回紹介するのは『サイファー』超能力を持った少年が世界の命運をかけた戦いに挑むホラーバトル漫画です。
この作品はなんといっても、グロイ・怖い・重いという児童誌にはとても珍しい作品で連載が始まった1995年はノストラダムスブームでホラーものが人気があった時代とはいえシンプルな絵で描かれるコロコロ漫画としては異端レベルの濃い画風に描き込みの多さでホラーシーンの迫力が半端ないです。
グロ描写も人間の男性に化けたガイ魔が正体を現す時に目玉が身体から出てきたり、人間の上半身が食われて下半身だけが棒立ちの状態と大人でも怖くなる位で、そういったグロさや展開の重さから打ち切りとなってしまいました。
しかし、ホラーや怪奇物としての完成度は高く、終盤は打ち切りの影響で駆け足ですがお話としてはきちんと完結しています。現在では先生の公式サイトやマンガ図書館Zで無料で公開されています。
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ラスト
読んでいて一番印象的だったのは最終回。ガイ魔王を倒し平和な街中でウォンが街を徘徊しているシーン。ゴミが捨てられている街中を1匹で歩くウォンのラストページは不安感を駆り立てるラストで初めて読んだときは一輝も仲間も皆死んでしまい、ウォンだけが生き延びたのかと思ってしまいました。
しかし、その後先生がサイファーのその後を語ったところによると皆それぞれの日常に帰って平和に暮らしているという話です。でも、だったらあの不穏なラストは一体何だったんだろう?

私が考えるにラストは公園でパンを食べている男性が平和だけど退屈な日常に対して愚痴っています。しかし、一輝にとってその平和な日常は一度破壊されました。ガイ魔王が破れ世界に平和が訪れてもガイ魔に殺された一輝の母は帰ってはきません。男性が退屈という平和は簡単に壊れるもの、世界のどこかで誰かが渇望している平和を当たり前の物としている日本人への皮肉が込められているのかもしれません。