サイケまたしても  作者:福地翼  掲載誌:週刊少年サンデー

サイケまたしても
「誰か」なんて…
いつだって…
『自分』しかいないのに…ッ!

あらすじ
将来の夢を持たず、洋楽や活字で周囲から距離を置くどこにでもいる少年・葛代斎下(くずしろ サイケ)は自分の事をただ1人だけ気にかけてくれる幼馴染の枳殻蜜柑(からたち みかん)がトラックに轢かれて死亡した事をきっかけにモグラ池で溺死する事でその日の朝7時に戻る事ができる時間逆行の能力を持っていた事に気づく。
時間逆光の能力を使って蜜柑を助けようと試行錯誤するサイケだが、何度やっても蜜柑は死んでしまう。サイケは彼女を助ける為に自分の命を引きかえにする事を決める。最期の日、サイケはヘッドフォンを付けずに学校に行き自分からクラスメイトに話しかけ、そしてかつて自分が見捨てた見ず知らずの少年を助けた。後悔の無いように。その際少年からアニメグッズの星のキーホルダーを貰う。モグラ池に着いたサイケは蜜柑を庇ってトラックの前に立ち死を覚悟するが、偶然にも西日がキーホルダーに反射した事で運転手がハンドルを切り、間一髪でサイケは生き延びた。その後蜜柑が掘り起こしたタイムカプセルの中に入っていた自分の手紙を読んで、この能力を他人を助ける為に使う『ヒーロー』になる事を決意。
しかし、能力を持つ者はサイケだけではなく様々な思惑が絡む能力者達の戦いにサイケは巻き込まれていく。
***
今回紹介するのは『サイケまたしても』です。時間を遡る力を手にした少年が主人公の能力バトルです。能力バトルものですが、サイケの能力は時間を遡る事ですので、死なない限りモグラ池に行って溺死すればその今までの記憶を引きついでコンティニューできる強力な能力である反面、サイケ自身の戦闘能力が上がったりすることはないのでどういう作戦にすれば勝てるのか何度もシミュレーションしながら戦うという能力バトルとしては新しい視点(と私は思うんですが)で描いています。
大事な人を守る為に何度もタイムリープする主人公というのは古今東西ありふれていますが、今作は大事な人を助けた後が本番という作品です。プロローグとしては長いですが、サンデーだからできた作品ですね。ジャンプだったら蜜柑救出にそこまで序盤の話数が使えないので。
作者の福地先生が何度も体調不良で休載しているためか、本作の連載は不定期連載となっており、集中連載と休載を繰り返すスタンスとなっています。その為続きが中々読めない作品なので少しもどかしい。けど、無茶して漫画が描けなくなったら事なのでこういうスタイルもありですよね。
無力な少年がある事をきっかけに大きな力を手に入れて、その力を使うには大きな代償を支払うけれど少年は躊躇うことなくその力を使う……。こう考えると『僕のヒーローアカデミア』の緑谷出久とよく似ていますねサイケは。出久はワン・フォー・オールを使うと身体が大きなダメージを受けて常にボロボロ。サイケは死に方の中でも苦しいと言われる溺死をしないと能力は発動しない。どちらも自分の信念に乗っ取った自己犠牲タイプですよね。個人的には自ら苦しい死を選ぶことで能力が発動するという能力を何の躊躇なく使うサイケの方が見てて狂気を感じますね。2巻では割れた花瓶を割らないようにするためだけに能力使うんですもん。普通じゃできない感覚です。