クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!  監督:ムトウユージ  脚本:もとひら了

踊れ!アミーゴ
『踊るおバカに 見るおバカ “世界サンバ化計画” 進行中』
あらすじ

よしながみどり、まつざか梅、上尾ますみの三人は居酒屋で話をしていた。まつざか梅は幼稚園のお遊戯会の出し物としてサンバを踊ろうと提案するが、他の二人は難色を示す。やがて三人は解散してそれぞれの家路に着いたが、人気のない夜道を一人歩いていたよしながみどりは途中で何者かにつけられていると感じ走り出す。そして踏切を渡ったところで、自分そっくりの人間に襲われてしまう。
ある朝、野原しんのすけはいつものように幼稚園のお迎えバスを待たせていた。すると、バスからやけにノリの良いよしながみどりが。しんのすけは不思議に思いながらもバスに乗り、幼稚園に向かう。幼稚園の休み時間、佐藤マサオは「酢乙女あいの様子がおかしい」と語る。確かに酢乙女あいは、いつもは無関心なはずの佐藤マサオに対しやけに優しかった。佐藤マサオが「本物そっくりだけど、本物じゃない」と力説すると、ボーちゃんは「そっくりなニセモノが出没し、本物の人間はいつのまにか姿を消してしまう」という“カスカベ都市伝説”を雄弁に語り一同を怖がらせた。
数日後、野原一家は大型スーパーマーケットに出かける。迷子になったしんのすけは、みさえとひまわりが2組いるという奇妙な光景に遭遇する。しんのすけはもう一人のみさえにお菓子をたくさん買ってあげると言われ捕まりそうになるが、「ツンデレ」と書かれたジャージを着た女性に助けられる。しんのすけが本物のひろしとみさえの元に戻ると、二人も「もう一人の自分に見られているような気がする」と思い始めていた。
そしてその気のせいはついに現実のものとなる。幼稚園で前々から様子のおかしかったよしながみどりと園長先生が、お遊戯会の出し物でサンバを踊ろうと言いだし、曲が流れた途端に踊り出した。どうやらこれはニセモノの習性らしく、酢乙女あいや黒磯、他の園児達も踊っている。自分たち以外の先生や園児が全員ニセモノに成り代わられていた事を知ったまつざか梅、上尾ますみ、かすかべ防衛隊は危機を察知し幼稚園から逃げ出そうとするが、上尾ますみはニセモノの黒磯の誘惑に負けて捕まってしまい、まつざか梅はしんのすけたちを逃がすために囮になり捕まってしまう。
その頃、ひろしも会社で同僚の川口がニセモノに成り代わられていることに気付いていた。帰宅時、ひろしはニセモノの川口に捕らえられそうになり、必死の思いで逃げ出したが、家に着くともう一人のひろしがしんのすけと入浴していた。二人のひろしはどちらが本物か証明するために戦いを繰り広げ、最終的に股間の痛さの感じ方で決着がつきニセモノであることを知られたニセモノのひろしは逃げ出す。一安心するひろしだったが、突然シロがしんのすけを睨みつけ、目の前で「チンチンカイカイ」をしてみせる。だがいつもと違ってしんのすけはそれに反応しない。何とひろしのニセモノと風呂に入っていたしんのすけもニセモノだったのだ。ニセモノのしんのすけは正体を見破られるとそのまま家を飛び出してしまう。
その頃、本物のしんのすけとかすかべ防衛隊のメンバーは公園に集まっていたが、まつざか梅と上尾ますみが自分達の眼前で捕まったのを目撃したにも関わらず、現状を断固として信じない風間トオルは帰宅。他の隊員も、親たちの様子がおかしければ公園に戻ってくると約束して解散する。そして、風間トオルは自宅でニセモノのママに捕まってしまう。
野原家はニセモノの川口に再び見つかり、家に篭城しようと決意するも、ニセモノのひろしに阻止されてしまう。敵に囲まれて絶体絶命になったそのとき、1台の車が野原宅に突っ込んでくる。車には本物のしんのすけと、以前しんのすけを助けたジャージの女性が乗っていた。女性は SRI(Sambano Rhythm Iine:「サンバのリズムいいネェ~」の略)という組織の特捜員で、名前を「ジャクリーン・フィーニー」・通称「ジャッキー」という。ひろしたちは車に乗り込み、公園でニセモノの風間トオルと彼が連れてきた謎の人物達に捕まりそうになっていた桜田ネネ、佐藤マサオ、ボーちゃんを間一髪で助け出した。
しかしその後、ジャッキーの分析で野原一家と桜田ネネ・佐藤マサオ・ボーちゃんを除く春日部の住人は既に全員ニセモノに成り代わられていたことが判明する。更にニセモノたちは虎視眈々としんのすけやジャッキーが乗ったSRIの車を狙っていた。そこで一同は春日部を脱出して隣町に逃げ込もうと考えかすかべ山の山道を通って脱出を図るが、その途中でヨシリンやミッチーたちのニセモノに襲われ、ついに捕まってしまう。近くの小屋に連行されたしんのすけ達は、その中がコンニャク工場であり、ここで生産されているコンニャクこそがニセモノの正体だったことを知る。ニセモノの正体はバイオテクノロジーの権威・アミーゴスズキが作り出した「コンニャクローン」という技術によって生み出されたコンニャクを素材とするクローン人間で、この工場で大量のニセモノが生産され、行方不明になっていた本物の人々はアミーゴスズキが放ったコンニャクローン達に捕まっていたのだった。
果たして、アミーゴスズキがニセモノを作り出す目的とは、ニセモノがサンバを踊る理由とは何なのか。そしてアミーゴスズキとは一体何者なのか。(ウィキペディアより)
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クレヨンしんちゃんには『クレしんホラー劇場』というホラー回があるんですが、今作はそのホラー劇場のホラー成分を更に高めた作品。登場キャラの顔が化け物のように豹変したり人体があらぬ方向で曲がったまま動き回ったり、背景が真っ赤に染まって視聴者の不安を煽り劇場で公開された時子供が怖がって途中で退出した・テレビ公開の際には本編の内容を大幅にカットしたという逸話が残るある種の問題作です。
一方そんな子供どころか大人も怖がるようなホラーな前半から一変後半はギャグになります。……と、ウィキペディアとかでは書かれているんですが、個人的に後半の展開はギャグですらないって感じ。
コンニャクローンの倒し方が分かったしんのすけ一行の反撃とジャッキーとアミーゴスズキのサンバ対決になるんですが……何故サンバ対決? ジャッキーとアミーゴスズキは実は親子でその為ジャッキーはアミーゴスズキを絶対逮捕するという目的の為に1人で立ち向かうんですが、何故そこで仲間の隊員は彼女を1人にするの? 多くの人を誘拐して街を混乱に陥れた悪党なら協力して逮捕の為に戦おうよ。そして、何故その戦い方法がサンバなの? 肉弾戦や銃撃戦じゃダメだったの? カメラワークも迫力ないし、延々とサンバしながら会話する2人を観てもだれてしまいます。
その後、一度はジャッキーが負けそうになりますがしんのすけがケツを振る自分だけのサンバを踊ってそれに勇気づけられたジャッキーが再びサンバ対決に。なんだろうな。本人達は盛り上がってて制作側もこのシーンを盛り上げ所にしているとは思うけど、観てるこっちの気持ちは全く盛り上がらない……。
今までのしんちゃん映画でも決着の付け方が追いかけっこだったり歌やダンスだったりした事はあります。けどその時はカメラワークを動かして構図にこだわったりキャラクターを動かしてその動きが笑いになってたり工夫がされてました。けど今作は踊りも単調で代わり映えせず(実際のサンバが単調って意味じゃなくてこの映画のサンバの踊りがという意味で)カメラワークも動かず足のアップや顔のアップばかり。こんな勝負の決着の付け方なら最初から最後までホラー映画として制作すればよかったのに。それともスポンサーやディレクターに何か言われたのかな?
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前半部分は賛否両論あると思いますが、面白い点はありました。例えば本物のひろしが帰宅した際に偽のひろしがしんのすけと風呂に入っていた。その後偽物のひろしは去るのですがシロの様子がおかしい。それでみさえは本物のひろしも偽物なのではないかと疑うのですが実はシロが反応していたのはしんのすけ。帰宅していたしんのすけは偽物だったのです。
偽物のしんのすけの言動は本物のようでしたし、このシーンが描かれたのはしんのすけがかすかべ防衛隊と別れて帰宅するシーンの後。これには騙されましたね。こういう本物か偽物か、視聴者にも分からない緊張感は面白かった。
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しんちゃんでホラー映画をやろうという試みは悪くはないと思います。しかし、そのホラー部分がキャラクターの顔が豹変する直接的なホラー面が強すぎて子供が泣いてしまい、テレビ放送時にはカット。後半は強引に明るくしたもののイマイチ盛り上がらずという結果に……。